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「彼女、視野が狭いわね」
仕事で大きな失敗をした直後だったので、更衣室の奥から聞こえた声につい耳がいってしまった。
「おかげでそのしわ寄せがこっちにも来て大変だったわ」
「いやね」
聞き覚えの無い声だが、もしかしたら同じ職場の人たちかもしれない。
今日の失敗を陰口しているのだろうか。
誇大妄想かもしれないが、不安になって聞き耳を立てていると話は意外な方へと向かった。
「もっと視野を広げるべきだと思うの。どうしたら良いと思う?」
もしや、これは私に対する助言を考えてくれているのだろうか。
それだとしたら、かなり良い人たちではないか。
「そうねえ。眼窩を広げてみるのはどうかしら?」
「ああ、それは良いわね!」
嬉々として頷く声に、私もなんとなく頷いてから首を傾げる。
眼窩というのは、目玉の入っている穴のことではなかっただろうか。
「どうやって穴を広げるの?」
「そうね、指を突っ込んで広げるのはどうかしら?」
なにやら雲行きがおかしくなってきた。
聞いてはいけないものを聞いてしまった気がする。
この場はさっさと退散した方が精神上良さそうだ。
ロッカーの扉を閉めて、更衣室を出ようとすると、背後から小さな声がした。
「穴を広げている間、目玉はどこへ行くのかしら?」
その声は明らかに楽しそうだった。
最終更新日 2005/05/05
一 言 夢の中で「目玉はどうする?」って聞かれました。
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