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「ママが歌っているお歌はなあに?」
女の子の問いに、機織をしていた女は鼻歌を続けて聞こえないようです。
「ママ、なんおお歌を歌っているの?」
男の子が尋ねても、女は答えません。
「ねえ、ママ」
子供たちの声には耳を貸さず、女は鼻歌交じりに機織を続けています。
そこへ男がやってきました。
「そろそろ休憩にしないか? さっき森で美味しそうな実をとってきたんだ。おやつに食べようよ」
「まあそれは良いわね。今すぐ切って来るわ」
女は立ち上がると、男から果物を受け取って台所へと向かいます。
それを見ていた子供たちは口を尖らせて男に言いました。
「パパ、どうしてママは私たちの声を聞いてくれないの?」
「どうしてママはパパばっかり見てるの?」
子供たちに攻め立てられた男は苦笑して二人を抱き上げます。
「どうしてだろうね」
言いながらも、男にはわかっていました。
女が、母親としての愛情を持っていないということを。
だけど子供たちにそれを伝えるのはあまりに酷だったので、男は返事の代わりに歌を歌いました。
それは女が歌っていたもので、ずっと昔に、男が女へ贈った愛の歌でした。
最終更新日 2005/05/05
一 言 彼女が彼と共に暮らしたのは驚きでした。
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