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その日、機密性の高い仕事を請けた私と従弟は、国の施設を訪れた。
「ねぇちゃん、今日の仕事ってなんだっけ?」
「確か、ゴミを燃やすから、その時の警備と燃えカスの回収だよ」
「もちっと派手な奴が良かったなー」
文句を言う従弟を嗜めながら、私は受付からスタッフ腕章を受け取り、自分と従弟の腕につける。それから、受付で渡された地図と、今日の計画についての紙を捲りながら、私はふとあることに気付く。
「やけにアーミー野郎が多いなぁ」
不信がられない程度に周囲を見回すと、指定場所に近づくにつれ職員の姿は消え、変わりに迷彩服に身を包んだ男達の姿が増えてくる。
「俺らみたいな"異能力系なんでも屋"に降りてくる仕事なんて、変なのばっかに決まってんじゃん」
"異能力系なんでも屋"とは、主に科学や常識ではどうにもならない、幽霊や妖精なんかの事件を解決するのが仕事であるが、そんな事件はそれほど多くないので、普段は大抵、こういうちょっと一般に洩れちゃやばい仕事を請け負うのだ。
理由は簡単。仕事がないからというのもあるが、異能力の中には絶縁体質や皮膚が無駄に固いとか、そういう奴が多いためである。
「何はともあれ、さくっと仕事して、さくっとお金もらえれば良いよ。今セメスターの教科書代高いんだもん」
「それは、ねぇちゃんが調子に乗って講義を沢山とるからだろ」
「うるさいなー」
実は私、ぴっちぴちの女子大生だったりする。ちなみに、従弟の方は、高校一年生のまだまだ青臭い少年だ。
私達にとってこの仕事は、特殊体質を利用してのアルバイトでしかない。
「っと、あれじゃないかな。今日の仕事場」
私が指差した先には、ゴミが綺麗に並べられた細い道路があった。
よく見れば、出入り口に、火炎術防止の結界が張られているので、あのゴミの列はただのゴミというわけではなさそうだ。
「もしかして、俺が焼くの?」
「一人じゃないとは思うけどね。頑張れぇ」
「うぅ、ヤダなー。炎使うと疲れるからさ」
従弟の特殊体質は炎を出すことだ。それも、煙草の火よりも高熱の。
本人はまだまだ使いこなせていないので、煙草の火ぐらいの熱さの炎を操るのがやっとだが、火炎術のプロになると、人間を消し炭にすることもできるらしい。人体発火の半分が、火炎術を使った暗殺者の仕業という話もあるが、これは一般には秘密である。
現場監督らしい迷彩服男に、到着を報告して、従弟はゴミの列の中央辺りに待機させられる。
他にも術師はきているのだが、端から端までかなりの距離があるので、燃え残らないようにするためだろう。
私はというと、ゴミ拾い班なので、燃え尽きるまで端っこで見学と言うことになった。
正直、周りが大人ばかりなので話しかけ難いし、夕暮れも過ぎたので相手の顔もわからないから、余計話しかけ難いので、ちょっと淋しい。
夜食のハンバーガーを食べたいなと、仕事中にもかかわらず不謹慎なことを考えていると、エンジン音が聞こえてきた。
顔を上げると、ゴミの列の中を、乗用車とチンピラっぽい奴等が徐行している。
しかも、車を囲むチンピラ連中の足にはローラースケート。四つの車輪が立てに並んだインラインスケートじゃなくて、二列に並んだローラースケートの方である。
いるのだ。夜過ぎて、国の施設に入ってくる馬鹿が。つまみ出されるかと思ったが、迷彩服連中は誰も止めない。
それどころか、発火時間になったので、術師の準備に大慌てという感じである。
まぁ、ゴミの列の間とはいえ、少し広めの空間にいるから、あのまま動かなければ燃えることもないだろう。
「点火っ!!」
ゴミの列の端に立っていた術師の手から、雷霆のような光が放たれる。
ゴミとゴミを繋ぐ太い線はなんだろうと思っていたが、どうやら強力な電気を通すタイプのコイルかなんか、そんな感じの物のようだ。
見る見るうちに、太い線の上に置かれたゴミが燃えていく。
と、思っていると、あのチンピラ達が驚いて逃げ始めた。だが、もう遅い。
太い線の上を跨いだ瞬間、チンピラの一人が悲鳴を上げて地面に転げ回る。
そりゃ、雷光術師の、それも国が焼却依頼を出すような腕前の奴の電気なら、線を焼き尽くしながら走るものである。一見、危なくなさそうでも、近寄っただけで体中に電気が走るものだ。
あ、ちなみに私と弟は、とてつもなく下っ端で、所属している派遣会社が国と関係を持っているのでここにいるだけだったりする。
とりあえず死人は出なかったようだが、迷彩服の手でどこかへ運ばれるチンピラ達の生死は考えたくない。
夜明けが近づき、いいかげん炎も治まってきた頃、夜食のハンバーガーもすっかり切れた私のお腹が鳴る。
結局、夜陰に紛れてハンバーガーを食べてしまったのだった。
お腹の虫をあやしていると、近くを通った迷彩服の男が声をかけてきた。
「燃えカス拾いが終わったら朝食は出すから、もう少し頑張れ!」
「うわぁ、本当ですか。ありがとうございます」
にっこり笑った男に、私も笑い返しつつ、さっと男の胸を見た。
戦闘室室長。
見た限りでは30代か、その後半にしか見えない。
国の階級は細かくありすぎてよくわからないのだが、だいぶできる男に違いない。
でも、顔もなかなか良いし、人好きのする笑顔は、そこらの美少年アイドル事務所所属者より質が良い。
なんでこんな人物が迷彩服きてるのだろう。
超個人的なことを考えつつ、私は手を振って立ち去る男に手を振り返す。
更に時間が経ち、炎が消えたのは五時を回った頃だった。
耐熱性のゴミ袋を渡された私は、従弟のいる辺りを任されて、そこへ向かう。
今までゴミに占領されていた道路には、燃えカスを残して、線や灰さえも残っていない。さすがは火炎術師と雷光術師の力だ。
従弟を見つけた私が近寄ると、従弟は疲れきった顔で立ち上がった。
「お疲れ様。はい、飴」
「うー、マジで疲れた」
ポケットから取り出した飴を渡すと、従弟はそれを受け取って口の中に放り込む。
特殊な体質とはいえ、術を使うと体力や精神力、その他色々な力を使って疲れてしまうので、ペアを組む場合は相棒が気を使わなければいけないのである。
それで、今渡した飴はというと、火炎術使用後の体に残った熱を取るための飴で、一粒が一日の食事代と同じという代物だ。
飴に限らず、異能力系なんでも屋の装備や道具はどれも値が張るのだが、その分給料も高いのでやめられない。
まぁ、プラスマイナス考えたら、普通のバイトを真面目にやっていた方が良いのかもしれないが。
「お、見てみて! 水溜りが王蟲の目みたいで綺麗!」
私が指差した先に、某アニメに出てくる蟲の青い瞳に良く似た色の水溜りがいくつかある。
「それ触らない方が良いよ。俺の炎だから」
言われた私は、伸ばしかけた手を引っ込める。
火炎術師の中にはこういう特殊な奴が時々いるのだが、炎の姿がどう見てもただの水だったり、固体だったりするのだ。
「君ねぇ、炎を出しっぱなしにするなよ!」
「わーってる、今消すよ」
そう言って従弟が指を鳴らすと、青い水溜りが消え去る。
「それにしても、いつのまに水溜りっぽいもの出せるようになったの? 昨日まではただの炎だったじゃん」
炎が消えたのを確認し、ゴミ袋片手に燃えカスを拾い始める私。
「一晩中燃やしまくってたら、いつの間にかできるようになったんだよ。今でも、普通の炎は出せるけどさ」
言いながら、ゴミ袋を持って隣にやってくる従弟。
「へぇ。なんかズルい。おねえちゃんは地味ぃな能力ばっかりだってのに」
「それはあんたが練習怠けるからだろ」
「うるさい」
私は痛い指摘を受けて顔を背ける。
それから暫く、雑談をしながらゴミを拾っていると、従弟の受け持った区域が終わり、隣の区域に入った。
「ここ、燃えカス多くない? 誰の受け持ちだったのさ」
「知らない顔の奴。なんか冴えない顔のおっさんだったぜ」
「冴えない顔のおっさんって、本人が近くにいたらどうするかなぁ」
「居ないから言ったに決まってんじゃん」
「をぃをぃ」
軽く従弟をたしなめつつ、私はある袋を見つけた。
完全に焼け残ったその袋が妙に気になって開くと、私は絶句した。
小中高と歴史の授業中徹底的にさぼった私でも、これが危険なものであることはわかった。
戦時中の写真だ。
それも、だいぶ怨念だのなんだのがついているらしい。触れているだけで体が冷たくなる。
「ねぇちゃん? どうした?」
私はハッとして従弟に抱きついた。
「おいおい、どうしたんだよ」
「怖い、ちょっと我慢して」
私の尋常ではない声に、従弟も察して、静かに私に抱きつかれる。
異能力者の大半は、物についた念を感じ取ることができる。まぁ、そちらが本業なのだから当たり前だが。
だが、私の場合は良いものよりも悪いものの気配を拾い易いらしく、体中が震えて動かなくなることがあるのだ。
そんな時に、従弟に抱きつくと落ち着く。
火炎術師であるためか、体温が高くて、それが凍りついた胸まで暖めてくれる感じなのだ。
「落ち着いた?」
「うん」
私は一度深呼吸してから、その袋を防弾チョッキの下へと入れる。
防弾チョッキと言っても、術防止の術が幾重にも織り込まれた代物だけど。
「良いのかよ、ねぇちゃん」
「良くないよ。だけど、これは持ち出さなきゃいけない。物が出ることを望んでる」
「!?」
「これはここで燃やせるほど弱くない。ううん、この区域に燃えカスが多いのは、強い念のモノばかりだからだ」
「ねぇちゃん、落ち着いて」
「落ち着けるわけないだろ。体中が凍えて震えだしてるのに、このモノが強すぎて、体がいうことをきかないんだから」
「ねぇちゃん、乗っ取られたのかよ?」
「まだ。意識まで奪うつもりは無いみたい。ただ、ここから出ることしか望んでないから」
「厄介な仕事を引き受けたな」
「仕方ないよ。こういう体質なんだし」
私は震えながらもゴミ拾いを終えて、従弟と共に施設を後にする。
ボディチェックを受けたが、防弾チョッキの下は良いということでなんとか免れた。
休日ということで、お互いに両親へと連絡を入れた後、派遣会社まで行く。
五階建ての小さなビルの一階は受付と一般向けのショップで、二階より上が"異能力系なんでも屋"関係者しか上がれないようになっている。
二階へ上がった直後、中から体育会系の肉体を持った男が現れる。
この支部の支部長であり、自身も凄腕の異能力者という渡邉さんで、ここにたむろしている連中からはマッサージのおじさんと呼ばれている。
マッサージをするのが大好きで、整体師を一時期目指していたというだけあり、マッサージの腕前も凄い。
「大丈夫か。ババ様がお前に手を貸してやれって言ってたが」
「気分は最悪ですよ。今も、立ってるのがやっとって感じですから」
従弟の腕に抱きついて、やっと動ける状態なのだ。
「ババ様が話しがあるからつれて来いって言ってるし、俺の背中に乗りな」
差し出された背中に、私は抱きつくようにして腕を回すと、軽々とおんぶされてしまう。
これでも、身長に対する平均体重をだいぶ越えているので、重いと思うのだが、辛そうな感じはない。さすが渡邉さんだ。
二階の奥にある、板張りの床へ降ろされた私は、そこに置かれたコタツに当たっている老婆に一礼した。
ババ様とは、この支店の守り神みたいな人物で、本名は確か高橋と言ったはずである。
長い人生経験からの一言は、仕事関係にしろ、人間関係にしろ、そこらの辻占い師やカウンセラーよりよっぽど信用できる。
「ちぃーっと、人を払っておくれ」
ババ様の言葉に、渡邉さんは板戸を閉めて、今まで開け広げだった空間を個室に変える。
普通に見ると、木の厚さから言って、防音性は守られていなさそうだが、防音用の術が施されているので問題は無い。
部屋の中には、ババ様と、渡邉さんと、私と、従弟の五人が、こたつに向かって座っていた。
うん、五人?
見ると、ババ様と同じぐらい強い、固太りの壮年男性である弘前(ひろさき)さんも居た。
異能力カウンセラーをしている弘前さんに出会わなければ、私も従弟もこのバイトはしていなかっただろう。
特に従弟は、バイトどころか、普通の暮らしさえままならなかったかもしれない。
「さぁ、懐に隠してるものを出しなさい」
言われて、私は袋を取り出してコタツの上に出す。
すると、体中からどっと汗が出てきた。
会社のルールで、仕事先の持ち物を持ち帰ってしまうことは禁止されている。
まぁ、山とかに行って、そこでちょっと小遣い稼ぎ程度に、霊を捕まえてきて使役するのはOKだったりもするが。
「あの、その、私が勝手に持ってきちゃったもので、従弟は関係なくって、その」
私が一人混乱していると、弘前さんが唸った。
「こりゃ、危険な代物だ。よく、意識を奪われなかったな」
「その子達は外に出たかっただけなので協力すれば意識までは奪いません」
弘前さんの言葉に答えたのは、私の口だったが、私の声ではなかった。酷く無機質な女の声。
「貴女は色々知ってそうですね。この子達では荷が重い。私の体に入ってくれませんか?」
手を差し出した弘前さんに向かって、私の口から聞き取れないほど小さな声がした。どうもダメなようだ。
「ワシが寄り代になろう」
そう言ってババ様が手を出すと、私の口から青白いものが抜け出て、ババ様の手の先から体の中へと入った。
一体いつの間に私は憑かれていたのだろうか。
「……ふむ、大体の事情はわかった。この件は口外せんようにな。
おぬし等には後で事情は話すが、子ども達には荷が重いのでな」
ババ様の言葉に、四人とも頷く。
「ところで、私へのお叱りは?」
私が恐る恐る聞くと、ババ様は渡邉さんと弘前さんを見る。
「罰せられたいのか?」
渡邉さんの言葉に、私は首を横に振った。
「じゃあ、今回は"なかったこと"にしようじゃないか」
「は、はい」
私がホッと息を吐くと、従弟の傍へ弘前さんが移動した。
「お前は大丈夫だったのか?」
「はい。ってか聞いて下さいよ。俺、水みたいな炎を出せるようになったんですよ!」
「ほぉ、そりゃすごい。じゃあ、新しい名前が必要だな」
その言葉に従弟は満面の笑みを浮かべる。
名前。異能力者は、自分よりも高い異能力者から名前を貰うことで、力を制御する加減を知ることができる。
どうしてそうなのかはわからないが、とにかく名前というのは重要なのだ。
異能力者としての名前が無かった頃の従弟は、炎を制御できずに、自分の体を燃やすことも多々あった。
異能力者カウンセラーの弘前さんに出会うのがあと少し遅かったら、人体発火を起こしてこの世から消えていたかもしれない。
「おまえさんにも名前をやろうよ」
突然声をかけられて、私は驚いてババ様を見る。
「え、でも……」
「これだけ強いモノに触れていたんじゃ。新しい名前を持たなければ、その影響で悪いものが寄ってくるぞ」
「それは困ります」
悪いものという言葉に、体中が震えだして、私は両肩を抱きしめた。
正直、ババ様のように強い異能力者に名前をもらえるなんて、感激で体が震えるのだが、それ以上に、先ほどまで懐にしまっていたモノの影響の方が強いようだ。
「そうじゃの、おまえの名前は……」
ババ様が目を瞑ると、部屋中から音という音が消えたような、一種独特の気配が広がった。
異能力者が名前を考える時、何かとても神聖不可侵なモノが周囲を覆うような気がする。
「……キリンキ」
ババ様がそう発した瞬間、私の体が澄み渡り、一瞬、透明なものになったような気がした。
辺りが華やぎ、視界に色とりどりの光が入ってくる。
まるで、昔見た、絵巻のような、あるいは美しい描写をされた怪奇漫画の一枚のような、そんな景色。
私は涙を零しながら頷いた。
その傍らで、どうも弘前さんも名前を考えていたらしく、従弟も感動した表情で涙を流している。
「―――――ゴウ」
ゴウの前が聞き取れなかった。
従弟が異能力者から与えられる名前は、毎回のことだが、いつ聞いてもその一部しか聞き取れない。
ちゃんと聞いているのに、絶対に正しく聴こえないのだ。今回のように。
そういう風に、聞いても覚えられない音の名前を持つ者は少ない。その多くが強力な術師になる。
どうやら私の従弟は、とんでもない火炎術師になるかもしれない。
従姉としては羨ましい反面、鼻高々だ。
「そういえば、最近はどんな夢を見たんだい?」
弘前さんの問いに、従弟は毎日付けている夢日記調を見せる。
これもまた、従弟の特殊能力で、夢の中で怪異を見るのだが、それが何かを暗示する正夢になりやすいのだ。
だから、弘前さんは、カウンセラーとして従弟の夢日記を読み、出来る限りの対処をする。
とはいえ、私から見れば、部屋の隅に向かって飛ぶ竜だの、超高速で空を横切る仙人だのが何を暗示しているのかはさっぱりわからないが。
雑談を終えた私と従弟は、せかされるようにして部屋を出て、一階の受付まで降りる。
「はい、こちらがお二人のバイト料です」
渡されたのは、お金と明細書の入った封筒と、怪の一種である蜥蜴の足の干物。
そして、呪術の掛かったお茶のパックを大量に。
「あの、なんですか、これ?」
普段なら、明細書とお金と、お茶のパックが一つ付いてくれば良い方なのである。
「バイト料です」
「……はい」
受付のお姉さんの微笑みに負けた私は、すごすごと引き下がって店を出た。
明細書を見れば、確かに料金欄の下に商品の名前も入っている。
「ってか、なんで蜥蜴の足とお茶? どっちもかなり値段張るよね」
私の言葉に従弟が頷く。
「確か蜥蜴の足って200万は下らないんじゃなかったっけ?」
「げ、そんなにしたっけ? 呪術師じゃないからわっかんないよ」
私は驚きながら、蜥蜴の足を見る。グロい代物としか思えない。
「今日はどう山分けする?」
「んじゃ、俺は金が良い。あと、お茶も一種類ずつ欲しい」
「いや、私も教科書代欲しいから、少しは分けろよ。まぁ、蜥蜴はこっちで保管するけどさ。で、お茶なんだけど、君さぁ……闇系使えないじゃん」
「うぐ」
「まぁ、君が扱える分に関しては二つずつ上げるよ。9種類とも4袋ずつ入ってるし」
「わーったよ」
教科書代に足りる程度を引いた私は、そのままお金の入った封筒を渡す。
そして、お茶も数袋ほど従弟に渡すと、荷物はだいぶ減ったように思えた。
不意に、何かゾクリとして、私は腹の下から防弾チョッキの下へと手を入れる。
何かがあたり、引き抜いてみると、一見なんの変哲も無い黒いヘアピンが3本手の中にあった。
「やば」
「ねぇちゃん、何持ってきてるんだよ!」
「いやいや、私じゃないって。こいつが勝手についてきたんだよ! そうじゃなかったら、ババ様達がいるのに気付かないはずないじゃん!!」
どうやら、まだまだ私はこの事件とおさらばできそうにないようである。
最終更新日 2005/05/05
二 言 2005年秋の季節替りに載せた話。元は私の夢だったもの。
結構気に入っていてシリーズにしようか迷っているので、再録。
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