―刀耀の侍と剣耀の侍―

著者:鳳鳥 剣龍さん

 

日が沈み、夜の静寂が流れる草原に二人の侍が向かい合って立っている。
二人の侍は顔と服装、持っている得物は同じだが、唯一違うのは髪の色だけ。
一人は黒髪、もう一人は銀髪。
互いの得物"刀"を抜き、構える。
「我が名は刀耀 凰火!」
「我が名は剣耀 鳳火!」
『我こそは己を断つ剣なり!!』
その合図と共に二人の侍は草原を駆け抜ける。
己の間合いに入った瞬間、二人の刀が閃く。
『チェストォォォォオオ!!』
刃同士がぶつかり、火花を散らす。
力はほぼ互角、鍔迫り合いが何よりもそれを物語っている。
一進一退の鍔迫り合い、どちらが先手を取るか今だ決まらず。
「であっ! 剣耀一刀流・桜花散撃!!」
先手を取ったのは鳳火だった。
体全体を使って凰火を押し退け、高速の乱れ突きを繰り出す。
先制を許してしまった凰火は避けるが、何本か突かれてしまった。
すぐさま、間合いから遠ざかり、凰火も技を放つ。
「刀耀一刀流・鳳炎凰水斬!!」
赤き気高い炎の鳳凰と青き静かな鳳凰が舞う。
二羽の鳳凰は螺旋を描くように鳳火へと鋭く向かう。
「真・剣耀一刀流・鳳陽凰陰斬!!」
負け地と鳳火も鳳炎凰水斬と同類の技を放つ。
輝く黄金の鳳凰と暗く漆黒の鳳凰が赤き鳳凰と青き鳳凰に向かって飛ぶ。
四つの異なる属性は大爆発を起こし、爆風と煙を巻き起こす。
爆風によって草原が焼かれ、煙は土を巻き上げる。
爆風と煙が晴れるとそこに侍の姿がなかった。
キィンッと刃がぶつかる音がする。
それも超高速の速さで、マシンガンの連射のように。
『神威!!』
"真・刀耀一刀流・神威"と"真・剣耀一刀流・神威"。
この同じ技が激しく衝突し、草原の草が刈り取られる。
神威が終った後、二人は平然として立っていた。
少しの切り傷は有った物の、体力は全く減っていない。
ある種の化け物かと言われる位、この二人は化け物じみていた。
そして次の動作、二人は刀を鞘に収める。
その場から刀を素早く抜刀し、剣圧がぶつかる。
ぶつかった瞬間に衝撃破が起こり、二人は吹き飛ぶ。
空中で体勢を立て直すが、少し息が荒い。
3、4回も技を放っていれば息が荒くなるのは無理ない。
「どうした、息が上がっているぞ?」
唐突に凰火が余裕の表情で鳳火を見る。
「はっ、冗談! まだまだこれからだ」
鳳火もまた余裕の表情で凰火を見る。
互いに言い合って睨み付け、少しだけ本気を出す。
『修羅の腕……』
背中から四本の腕が生える。
仏教二十八部衆の一人、阿修羅を連想するような姿だ。
そして、必殺の一撃を放つ。
『伍刀流究極奥義!!』
「青龍!!」
「白虎!!」
背中の四本腕に刀剣を持ち、両手で愛刀を持つ。
同時に体が動き、分身を起こす。
その瞬間、凰火は右から、鳳火は左から斬りに行った。
「ぬおおおおおおおおお!!」
「であああああああああ!!」
五本の刀剣が重なり合うと、二人の腕から勢い良く血が飛び散った。
それどころか、袖がビリビリに破けてしまう。
それから二人は派手に吹き飛ぶ。
草が刈られた地面に落下して、背中から衝撃を負う。
「ぐぅぅっ! 今の衝撃で体が悲鳴を上げている……!」
「ぬう……! まさか、これ程までやるとは……!」
刀を地面に突き刺して立つ二人の侍。
今の技でかなりの体力を消耗してしまった。
「体力が底を尽きている、ならば……!」
「次の一撃に己の全てを賭けるのみ……!」
「望む所だ……!」
凰火の決意に鳳火は同意する。
修羅の腕をしまい、互いの愛刀を中段に構え互いに目を瞑る。
それから長い沈黙が続く。
そして、その沈黙は間もなく終る。
「我が剣魂、その身で受けよ! 剣耀 鳳火!!」
「刀耀 凰火!! 敗れるのはお前の方だッ!!」
同時に地を蹴って一気に間合いを詰める。
「咆えろ! 斬艦刀!!」
「唸れ! 斬塞刀!!」
己の愛刀の名を呼び、刀が長く大きく変化する。
これが二人の侍が持つ刀本来の姿。
故に本来の力を発揮できるスイッチのような物。
凰火が真・刀耀式斬艦刀を真っ直ぐに振り上げる。
鳳火が真・剣耀式斬塞刀を片手で振り回す。
『最終奥義!!』
二人が咆える。
「真・刀耀の太刀ッ!!!!」
「真・剣耀の太刀ッ!!!!」
二つの技がぶつかる。
擦れ違った瞬間に、二人の体から血が噴火のように噴く。
まだ終ってないと感じた二人は愛刀を手放し、急旋回して無手で勝負に出た。
『無刀流!!』
また二人が咆える。
「無空破!!」
「白虎砲!!」
凰火の左拳が砕けるが、それでも振動を起こし鳳火の体に送る。
鳳火の右拳が凰火の体に減り込み、ピキッと肋骨が折れた音がする。
「ぐおッ!?」
「ゴフッ!?」
折れた肋骨の痛みに苦しみ凰火。
体中に振動の波が来て口から血を吐く鳳火。
それから二人はそのまま動かなくなってしまった。
後に凰火の息子と孫達が見つけるが、そこにいたのは立ったまま動かず死んでしまった鳳火しかいなかった。
そこにいない凰火の行方は誰も知らないが、死んだ鳳火の足元には、彼の侍が着ていたと言う侍装束が自然に落ちていた。
灰色の粉と一緒に……。



最終更新日 2005/08/30
二    言 刀耀 凰火さん剣耀 鳳火さんは好きなキャラクターなので、
        その二人の戦いを書いて頂き嬉しい限りです。
        HPに載せることを快諾してくださってありがとうございました。