色バトン

鳳鳥 剣龍さんから回ってきたバトンです。

■赤といえば?
  思い出すのは小さい頃、母が出かける時に唇に塗った紅。
  鮮明すぎる色は、熟れた果実を思い出させて、大人の女性に憧れた。
  母のいない間に、化粧台へ近寄り、そっとのぞいてみた。
  飾り気の無い女の子が移った。
  口紅を回して唇に塗ってみたが、鏡の中には困った顔の女の子しかいなかった。


■青といえば?
  大学生の従姉が好んで使ったシャドウ。
  寒色で、目元は鋭くなるように思えたが、若い強さも感じた。
  自信にあふれた目元はいつも空色だった。


■オレンジといえば?
  大好きな人に会いに行く日、目いっぱいお洒落して、そっと指先を染めた色。
  爪が乾いた頃、別れを告げるメールが届いて、泣きながら落とした色。
  ビンの中にたっぷり残ったオレンジを放り投げた。


■黄といえば?
  小学生がかぶる丸い帽子の色。
  風で転がった帽子を拾ってくれた男の子に憧れて、
  消しゴムのおまじないもしたけれど適わなかった。
  夢見るだけじゃ振り向いてももらえないのだと悟った色。


■緑といえば?
  太陽を浴びてむせ返る向日葵の色。
  隣の家の庭で、ひと夏だけ咲いた向日葵。
  夏休みの間だけ友達になった大学生のお兄さんは、
  毎日一番熱い昼下がりになると、向日葵に水を撒いていた。
  向日葵が枯れる頃、お兄さんもいなくなり、私も少し頭をもたげた。


■紫といえば?
  お洒落な友達が振りまく香りと同じ色。
  ヒラヒラの洋服が良く似合う彼女は、ラヴェンダーの香りを振りまいていた。
  かわいい彼女が歩けば、男たちは鼻の下を伸ばしたものだった。
  ソバカスだらけの私は、呈の良い引き立て役で、いつも惨めな気持ちだった。


■紺といえば?
  夏祭りで見かける色とりどりの浴衣に寄り添う色。
  華やかな浴衣を着て出歩く女の子たちの横には、着流し姿の男の子。
  触れ合った袖が羨ましくて泣きそうになるのを、祭囃子が急き立てた夏は一度や二度ではなかった。


■ピンクといえば?
  天使の頬の色。
  だけど愛の天使は私になかなか微笑まない。
  私は売れ残り。


■茶といえば?
  一人で過ごす落葉樹の下の色。
  秋の午後の穏やかな風を受けて、ぼんやりと座ったベンチ。
  いつの間にか寝ていたらしく、隣に腰掛けた男性に気づかなかった。
  気づいた時には、彼はためらいがちに笑って、そっと席を立った。


■白といえば?
  秋のベンチで出会った彼が贈ってくれたワンピースの色。
  似合わないと言ったのに、送ってきたワンピース。
  ダイエットしろって皮肉かと食って掛かったけど、まんざらじゃなかった。


■黒といえば?
  立ち上がれなくなった心の色。
  もう愛するなんてできないと、両手で顔を覆うと、
  目の前に広がって私を抱きしめてくれた色。


■金といえば?
  着飾った男の色。
  金さえあればなんでも買えるのだと自嘲した。


■銀といえば?
  愛を誓った星の瞬き。
  愛は消えたのに、星はまだ瞬いている。
  思いはなかなか消えないなと笑って泣いた。


■グレーといえば?
  くたびれて飲み込む薬。
  確か名前は、ネズミ捕り。


■お疲れ様でした。大好きな色を一つ教えて下さい。
  エメラルドブルー。
  穢れの無い空まで飛んでいけたなら……。


■バトンを受け取る人
  やりたい方で。


※物語調で書いたバトンですが、この女はaliothじゃありません。





最終更新日 2006/09/21
感    想 なかなか頭の痛い女キャラができました。バトンの使い方がおかしいかも。